2011年05月24日12:04
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65737210.html
2011年5月23日参議院行政監視委員会における小出裕章氏の発言の文字おこしです。委員会の冒頭での発言です。エネルギー政策としての問題点、高速増殖炉が絶対にできない理由、福島原発事故の政府の不適当な対応、もんじゅに1兆円つぎ込んだ責任者は詐欺罪として1万年の刑期に相当するなど、舌鋒鋭く鮮やかに原子力政策を否定しています。
このエントリーの小出裕章氏の発言の文字おこしの部分は、読者からの情報提供を受け、以下のURLを参考にしました。その上で、再度動画を確認して、言葉遣いや言い回しなどを正確に改めたものです。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=260093&page=3&id=62504878
(文字おこし、始め)
「今日はこれまで原子力をすすめてきた行政に一言いいたいと思ってうかがいました。私は原子力に夢を持って原子核工学科に入った人間です。なぜそうなったかというと原子力こそ未来のエネルギー源だと思ったからです。原子力は無尽蔵にあるが、石炭や石油は枯渇してしまうから将来は原子力だと信じて入ったのです。」
「しかし、入ってみて分かったのは原子力は大変貧弱なエネルギーだと気が付きました。今このスライドに再生不能エネルギーというものの量を順番にあげていこうとおもいます。」
「まず1番多い資源は、石炭です。大変膨大に地球上に大変たくさんあることがわかっています。ただし今書いた四角は、究極埋蔵量です。実際に経済的に掘れるとわかっているのは確認埋蔵量と言われてるものなわけですが。この青い部分だけだということになっています。」
ではこの四角がいったいどれくらいのことを意味しているかというと、右の上に今、ちいちゃな四角を書きましたが、これは世界が一年ごとに使ってるエネルギーの総量です。ということは石油(※石炭の言い間違いかと思われる)の現在の確認埋蔵量だけで言っても、あそうですね、数字で書きますとこんなことになりますが、60~70年はあるし、究極埋蔵量が全て使えるとすれば、800年ちかくあると。いうほど石炭はたくさんあると。いうことがすでにわかっている、わけです」
「その次に天然ガスもあることがわかっている。石油もある。そして、オイルシエール、タールサンドといった現在はあまり使ってない資源もあるということがすでにわかっている、わけです。」
「そして私自身は、はこういう化石燃料と呼ばれているものが、いずれ枯渇してしまうから原子力だと思ったわけですが、原子力の資源であるウランは実はこれしかない、のです。石油に比べても数分の一、石炭に比べたら数十分の一しかないという大変貧弱な資源であった、わけです。」
「ただ私がこれを言うと原子力を進めてきた行政サイドの方々は、いやそれはちょっと違うんだと。そこに書いたのは核分裂製のウランの資源量だけを書いたろうと。実は、自分たちが原子力で使おうと思ってるのは、核分裂性のウランではなくて、プルトニウムなんだと、言うわけです。」
「つまり非核分裂性のウランをプルトニウムに変換して使うから、エネルギーとして意味があることになると。いうことを言っているわけです。」
「どういう事かというとこういうことです。」
「まず、ウランを掘ってくるということはどんな意味でも必要です。それを濃縮とか加工とかいう作業を行って、原子力発電所で燃やすと。これが現在やっていることなわけです。しかしこれをいくらやったところで、今聞いていただいたように、原子力はエネルギー資源にならない、のです。
「そこで原子力を推進している人たちは、実はこんなことではないと言っているわけですね。」
「ウランはもちろん掘ってくるわけですけれども、あるところからプルトニウムというものにして、高速増殖炉と言う特殊な原子炉を作ってプルトニウムをどんどん増殖していくと。でそれを再処理とかしながら、ぐるぐる核燃料サイクルで回しながらエネルギー源にするんだ、と言ったわけですね。で最後は高レベル放射線廃物と言う大変厄介なゴミがでてきますので、それをいつか処分しなければいけないと、いう仕事を描いた、わけです。」
「ただプルトニウムという物質は地球上には一滴もありませんので、しかたないので、現在の原子力発電所から出てくるプルトニウムというのを再処理して、高速増殖炉を中心とする核燃料サイクルに引き渡すという、こういう構想をねった、わけです。」
「しかし、この構想の一番中心は高速増殖炉にあるわけですが、この高速増殖炉御は実はできない、のです。」
「日本の高速増殖炉計画がどのように、計画されて破綻して行ったこと言うことを今からこの図に示そうと思います。」
「横軸は1960から2010まで書いてありますが西暦です。何をこれから書くかというと原子力開発利用長期計画というものができた年度を横軸にしようと思います。縦軸の方は1980から2060まで数字が書いてありますが、これはそれぞれの原子力開発利用長期計画で高速増殖炉がいつ実用化できるかというふうに考えたかというその見通しの年度を書きます。」
「原子力開発利用長期計画で一番初めに高速増殖炉に触れられたのは第3回の長期計画1968年でした。その時の長期計画では高速増殖炉は1980年代の前半に実用化すると書いてあります。」
「ところがしばらくしましたらそれは難しいと、ということになりまして、次の原子力開発利用長期計画では1990年前後にならないと実用化出来ないというように書き換えました。」
「それもまたできなくて5年経って改訂されたときには高速増殖炉は、2000年前後に実用化すると書き換えたわけです。ところがこれも出来ませんでした。」
「次の改訂では、2010年に実用化すると、書きました。これも出来ませんでした。」
「次は2020年台に、もう実用化ではありません、技術体系を確立したい、というような目標に変わりました。ところがこれも出来ませんでした。」
「次には2030年には技術体系を確立したい、ということになった。」
「では次の長期計画でどうなったか、というと実は2000年に長期計画の改訂があったのですが、とうとうこの時には年度を示すこともできなくなりました。私はしかたないのでここにバッテンをつけました。」
「そしてまた5年後に長期計画が改定されまして、今度は原子力政策大綱というような大仰な名前に改定されましたが、その改訂では2050年に1機目の高速増殖炉をとにかく作りたいというような計画になってきた、わけです。」
「みなさん、この図をどのようにご覧になる、でしょうか。私はここに1本の線を引きました。どんどんどんどん目標が逃げていく、ことが分かっていただけると思います。」
「横軸も縦軸も1マスが10年。で、この線は何を示しているかというと、10年経つと、目標が20年先に逃げるということ、なのです。」
「10年経って目標が10年先に逃げたら、絶対にたどり着けません。それ以上にひどくて、10年経つと20年先に目標が逃げているわけですから、永遠にこんなモノには辿りつけないと、いう事を分からなければいけないと、私は思います。」
「ところがこういう長期計画を作ってきた原子力委員会というところ、あるいはそれを支えてきた行政は一切責任を取らない、いうことで今日まで来ている、わけです。」
「日本はもんじゅという高速増殖炉の原型炉だけでも、既に1兆円以上のカネを捨ててしまい、ました。現在の裁判制度で行くと1億円の詐欺をすると1年実刑になるんだそうです。では1兆円の詐欺をしたら何年の実刑を喰らわなければいけない、でしょうか。1万年、です。原子力委員会、原子力安全委員会、あるいは経産省、通産省、等々、行政に関わった人のなかでもんじゅに責任のある人はいったいなんにんいるのか、私はよく知りません。でも仮に100人だとすれば一人ひとり100年間実刑を処さなければいけないという、それほどのことをやってきて、結局誰も未だに何の責任もとらないままいるという、そういう事になっている、わけです。」
「えー、原子力というばというのは大変異常な世界だと私には思えます。」
「次は、今、現在進行中の福島の事故のことを一言申し上げます。」
「皆さんご存知だろうと思いますけれども、原子力発電というのは、大変膨大な放射能を取り扱うというそういう技術です。いまここに真っ白なスライドがありますが、左の下の方に今私はちいちゃい四角を書こうと思います。」
「書きました。これは何かというと、広島の原爆が爆発したときに燃えたウランの量です。800グラムです。みなさんどなたでも手で持てるというそのくらいのウランが燃えて広島の町が壊滅した、わけです。」
「では、原子力発電。この電気も原子力発電所から来てるわけですけれども、これをやるためにいったいどのくらいのウランを燃やすかというと、」
「1つの原子力発電所が1年動くたびに、1トンのウランを燃やすと、それほどのことをやっている、わけです。つまり、それだけの核分裂生成物という放射性物質をつくりだしながらやってるということに、なります。」
「原発は機械です。機会がときどき故障をおこしたり事故を起こしたりするのは当たり前、のことです。動かすのは人間、です。人間は神ではありません。時には誤りをおかすと。当たり前のこと、なわけです。」
「私たちがどんなに事故が起きてほしくないと願ったところで、破局的事故の可能性は常に残ります。いつか起きるかもしれないと言うことになっている、わけです。そこでじゃあ、原子力を推進する人たちはどういう対策をとったかというと。破局的事故はめったに起きない、そんなものを想定することはおかしいと。」
「だから想定不適当という烙印を押して無視してしまうということにした、わけです。」
「どうやって破局的事故が起きないかと言うと、これは中部電力のホームページからとってきた、説明の図ですけれども、たくさんの壁があると。放射能を外部に漏らさないための壁があると言っているのですが。」
「このうちで特に重要なのは、第4の壁というところに書いてある原子炉格納容器というものです。巨大な鋼鉄性の容器ですけども、これが、いついかなる時でも放射能をとじこめるというそういう考え方にした。わけです。」
「原子炉立地審査指針というものがあって、その指針に基づいて重大仮想事故という、ま、ま、かなり厳しい事故を考えてると彼らはいうわけですけれども、そういう事故では、格納容器という放射能を閉じ込める最後の防壁は、ゼッッタイ(※かなり大きな声で発言)に壊れないという、そういう仮定になってしまっている、のです。絶対に壊れないなら放射能は出るはずがない、いうことになってしまいますので、原子力発電所はいついかなる場合も安全だと。放射能が漏れてくるような事故を考えるのは、想定不適当と。そして想定不適当事故という烙印を押して無視することにした、わけです。」
「ところが実際に、破局的事故はおきて、今現在進行中です。たいへんな悲惨なことが、今、福島を中心に起きているということは、多分みなさんも御承知頂いていることだろうと思います。ただ、その現在進行中の事故にどうやって行政が向き合ってきているかと、言う事についても、大変不適切な対応が、わたくしはたくさんあったと思います。」
「防災というものの原則は。危険を大きめに評価してあらかじめ対策をとっていく。住民を守ると。もし危険を過大に評価していたのだとすれば、あ、これは課題だった。でも住人に被害を与えないで良かったと胸をなでおろすという、それが防災の原則だとおもいますが。」
「実は日本の政府がやってきたことは、一貫して事故を過小評価して楽観な見通しで行動してきました。国際事故評価尺度で、当初レベル4だとか、いうようなことを言って、ずーっとその評価を変えない、まぁレベル5といったことは有りましたけれども、最後の最後になって、レベル7だと。あまりにも遅い対応の仕方をする。」
「それから避難区域に関しても、一番初めは3キロの住人を避難指示だす。これは万一のことを考えての指示です、と言ったのです。しかししばらくすると今度、10キロメートルの人たちに避難指示を出しました。その時も、これは万一の時を考えての処置ですと、言ったのです。ところがそれからしばらくしたら20キロメートルの人たちに避難の指示を出す。その時も、これは万一を考えての指示です、と。いうようなことを言いながらどんどんどん後手後手に対策がなっていった。いう経過をだどりました。」
「私は、パニックを避ける唯一の手段は正確な情報を常に公開するという態度、だろうと思います。そうして初めて、行政や国が住民から信頼をうける。そしてパニックを回避するのだと、私はおもってきたのですが、残念ながら日本の行政はそうではありませんでした。常に情報を隠して危機的な状況でないということを、常に言いたがるということでした。」
「えー、SPEEDIという100億円以上のお金をかけて、25年もかけて築きあげてきた事故時の計算コード、それすらも隠してしまって住民には知らせないというようなことをやった、わけです。」
「それから現在、まだ続いていますが、誰の責任かを明確にしないまま労働者や住民に、犠牲を強制しています。福島の原発で働く労働者の被ばくの限度量をひきあげてしまったり、あるいは住民に対して強制避難をさせる基準を現在の立法府が決めた基準とは全く違ってまた引きあげてしまうと、言うようなことをやろうとしている。」
「本当にこんなことをやっていていいのだろうかと、私は思います。」
「現在進行中の福島の、原発事故の本当の被害って、いったいどれだけになるんだろうかと私は考えてしまうと、途方に暮れます。」
「失われる土地というのは、もし現在の日本の法律を厳密に適応するなら、福島県全域といってもいい位の広大な土地を放棄しなければならなく、なるとおもいます。それを避けようとすれば、住民の被ばく限度を引き上げるしかなくなりますけれども。そうすれば住民たちは被ばくを強要させるということになります。」
「一次産業は、多分これからものすごい苦難に陥るだろうと思います。農業漁業を中心として商品が売れないということになるだろうと思います。」
「そして住民たちは故郷を追われて、生活が崩壊してくことになるはずだと私は思っています。」
「東京電力に賠償をきちっとさせるという話もありますけれども、東京電力がいくら賠償したところで足りないのです。何度倒産しても多分足りないだろうと思います。日本国が倒産しても、多分あがないきれないほどの被害が、私は出るのだろうと思っています。」
「本当に賠償するなら。ということです。」
「最後になりますが、ガンジーが7つの社会的罪ということを言っていて、彼のお墓にこれが碑文で残っている、のだそうです。」
「1番始めは「理念なき政治」です。この場にお集まりの方々は政治に携わっている方ですので、えー、十分にこの言葉をかみしめて頂きたいとおもいます。」
「そのほかたくさん、『労働なき富』、『良心なき快楽』、『人格なき知識』」
「『道徳なき商業』。これは多分、東京電力始めとする電力会社に私は当てはまると思います。」
「そして『人間性なき科学』と。これは私も含めたアカデミズムの世界がこれまで原子力に丸ごと加担してきたと、いうことを私はこれで問いたいと思います。」
「最後は献身なき崇拝。宗教お持ちの方はこの言葉もかみしめて頂きたいと思います。えー終りにしますありがとうございました。」
(文字おこしここまで)
(参考エントリー)
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http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=260093&page=3&id=62504878
(文字おこし、始め)
「今日はこれまで原子力をすすめてきた行政に一言いいたいと思ってうかがいました。私は原子力に夢を持って原子核工学科に入った人間です。なぜそうなったかというと原子力こそ未来のエネルギー源だと思ったからです。原子力は無尽蔵にあるが、石炭や石油は枯渇してしまうから将来は原子力だと信じて入ったのです。」
「しかし、入ってみて分かったのは原子力は大変貧弱なエネルギーだと気が付きました。今このスライドに再生不能エネルギーというものの量を順番にあげていこうとおもいます。」
「まず1番多い資源は、石炭です。大変膨大に地球上に大変たくさんあることがわかっています。ただし今書いた四角は、究極埋蔵量です。実際に経済的に掘れるとわかっているのは確認埋蔵量と言われてるものなわけですが。この青い部分だけだということになっています。」
ではこの四角がいったいどれくらいのことを意味しているかというと、右の上に今、ちいちゃな四角を書きましたが、これは世界が一年ごとに使ってるエネルギーの総量です。ということは石油(※石炭の言い間違いかと思われる)の現在の確認埋蔵量だけで言っても、あそうですね、数字で書きますとこんなことになりますが、60~70年はあるし、究極埋蔵量が全て使えるとすれば、800年ちかくあると。いうほど石炭はたくさんあると。いうことがすでにわかっている、わけです」
「その次に天然ガスもあることがわかっている。石油もある。そして、オイルシエール、タールサンドといった現在はあまり使ってない資源もあるということがすでにわかっている、わけです。」
「そして私自身は、はこういう化石燃料と呼ばれているものが、いずれ枯渇してしまうから原子力だと思ったわけですが、原子力の資源であるウランは実はこれしかない、のです。石油に比べても数分の一、石炭に比べたら数十分の一しかないという大変貧弱な資源であった、わけです。」
「ただ私がこれを言うと原子力を進めてきた行政サイドの方々は、いやそれはちょっと違うんだと。そこに書いたのは核分裂製のウランの資源量だけを書いたろうと。実は、自分たちが原子力で使おうと思ってるのは、核分裂性のウランではなくて、プルトニウムなんだと、言うわけです。」
「つまり非核分裂性のウランをプルトニウムに変換して使うから、エネルギーとして意味があることになると。いうことを言っているわけです。」
「どういう事かというとこういうことです。」
「まず、ウランを掘ってくるということはどんな意味でも必要です。それを濃縮とか加工とかいう作業を行って、原子力発電所で燃やすと。これが現在やっていることなわけです。しかしこれをいくらやったところで、今聞いていただいたように、原子力はエネルギー資源にならない、のです。
「そこで原子力を推進している人たちは、実はこんなことではないと言っているわけですね。」
「ウランはもちろん掘ってくるわけですけれども、あるところからプルトニウムというものにして、高速増殖炉と言う特殊な原子炉を作ってプルトニウムをどんどん増殖していくと。でそれを再処理とかしながら、ぐるぐる核燃料サイクルで回しながらエネルギー源にするんだ、と言ったわけですね。で最後は高レベル放射線廃物と言う大変厄介なゴミがでてきますので、それをいつか処分しなければいけないと、いう仕事を描いた、わけです。」
「ただプルトニウムという物質は地球上には一滴もありませんので、しかたないので、現在の原子力発電所から出てくるプルトニウムというのを再処理して、高速増殖炉を中心とする核燃料サイクルに引き渡すという、こういう構想をねった、わけです。」
「しかし、この構想の一番中心は高速増殖炉にあるわけですが、この高速増殖炉御は実はできない、のです。」
「日本の高速増殖炉計画がどのように、計画されて破綻して行ったこと言うことを今からこの図に示そうと思います。」
「横軸は1960から2010まで書いてありますが西暦です。何をこれから書くかというと原子力開発利用長期計画というものができた年度を横軸にしようと思います。縦軸の方は1980から2060まで数字が書いてありますが、これはそれぞれの原子力開発利用長期計画で高速増殖炉がいつ実用化できるかというふうに考えたかというその見通しの年度を書きます。」
「原子力開発利用長期計画で一番初めに高速増殖炉に触れられたのは第3回の長期計画1968年でした。その時の長期計画では高速増殖炉は1980年代の前半に実用化すると書いてあります。」
「ところがしばらくしましたらそれは難しいと、ということになりまして、次の原子力開発利用長期計画では1990年前後にならないと実用化出来ないというように書き換えました。」
「それもまたできなくて5年経って改訂されたときには高速増殖炉は、2000年前後に実用化すると書き換えたわけです。ところがこれも出来ませんでした。」
「次の改訂では、2010年に実用化すると、書きました。これも出来ませんでした。」
「次は2020年台に、もう実用化ではありません、技術体系を確立したい、というような目標に変わりました。ところがこれも出来ませんでした。」
「次には2030年には技術体系を確立したい、ということになった。」
「では次の長期計画でどうなったか、というと実は2000年に長期計画の改訂があったのですが、とうとうこの時には年度を示すこともできなくなりました。私はしかたないのでここにバッテンをつけました。」
「そしてまた5年後に長期計画が改定されまして、今度は原子力政策大綱というような大仰な名前に改定されましたが、その改訂では2050年に1機目の高速増殖炉をとにかく作りたいというような計画になってきた、わけです。」
「みなさん、この図をどのようにご覧になる、でしょうか。私はここに1本の線を引きました。どんどんどんどん目標が逃げていく、ことが分かっていただけると思います。」
「横軸も縦軸も1マスが10年。で、この線は何を示しているかというと、10年経つと、目標が20年先に逃げるということ、なのです。」
「10年経って目標が10年先に逃げたら、絶対にたどり着けません。それ以上にひどくて、10年経つと20年先に目標が逃げているわけですから、永遠にこんなモノには辿りつけないと、いう事を分からなければいけないと、私は思います。」
「ところがこういう長期計画を作ってきた原子力委員会というところ、あるいはそれを支えてきた行政は一切責任を取らない、いうことで今日まで来ている、わけです。」
「日本はもんじゅという高速増殖炉の原型炉だけでも、既に1兆円以上のカネを捨ててしまい、ました。現在の裁判制度で行くと1億円の詐欺をすると1年実刑になるんだそうです。では1兆円の詐欺をしたら何年の実刑を喰らわなければいけない、でしょうか。1万年、です。原子力委員会、原子力安全委員会、あるいは経産省、通産省、等々、行政に関わった人のなかでもんじゅに責任のある人はいったいなんにんいるのか、私はよく知りません。でも仮に100人だとすれば一人ひとり100年間実刑を処さなければいけないという、それほどのことをやってきて、結局誰も未だに何の責任もとらないままいるという、そういう事になっている、わけです。」
「えー、原子力というばというのは大変異常な世界だと私には思えます。」
「次は、今、現在進行中の福島の事故のことを一言申し上げます。」
「皆さんご存知だろうと思いますけれども、原子力発電というのは、大変膨大な放射能を取り扱うというそういう技術です。いまここに真っ白なスライドがありますが、左の下の方に今私はちいちゃい四角を書こうと思います。」
「書きました。これは何かというと、広島の原爆が爆発したときに燃えたウランの量です。800グラムです。みなさんどなたでも手で持てるというそのくらいのウランが燃えて広島の町が壊滅した、わけです。」
「では、原子力発電。この電気も原子力発電所から来てるわけですけれども、これをやるためにいったいどのくらいのウランを燃やすかというと、」
「1つの原子力発電所が1年動くたびに、1トンのウランを燃やすと、それほどのことをやっている、わけです。つまり、それだけの核分裂生成物という放射性物質をつくりだしながらやってるということに、なります。」
「原発は機械です。機会がときどき故障をおこしたり事故を起こしたりするのは当たり前、のことです。動かすのは人間、です。人間は神ではありません。時には誤りをおかすと。当たり前のこと、なわけです。」
「私たちがどんなに事故が起きてほしくないと願ったところで、破局的事故の可能性は常に残ります。いつか起きるかもしれないと言うことになっている、わけです。そこでじゃあ、原子力を推進する人たちはどういう対策をとったかというと。破局的事故はめったに起きない、そんなものを想定することはおかしいと。」
「だから想定不適当という烙印を押して無視してしまうということにした、わけです。」
「どうやって破局的事故が起きないかと言うと、これは中部電力のホームページからとってきた、説明の図ですけれども、たくさんの壁があると。放射能を外部に漏らさないための壁があると言っているのですが。」
「このうちで特に重要なのは、第4の壁というところに書いてある原子炉格納容器というものです。巨大な鋼鉄性の容器ですけども、これが、いついかなる時でも放射能をとじこめるというそういう考え方にした。わけです。」
「原子炉立地審査指針というものがあって、その指針に基づいて重大仮想事故という、ま、ま、かなり厳しい事故を考えてると彼らはいうわけですけれども、そういう事故では、格納容器という放射能を閉じ込める最後の防壁は、ゼッッタイ(※かなり大きな声で発言)に壊れないという、そういう仮定になってしまっている、のです。絶対に壊れないなら放射能は出るはずがない、いうことになってしまいますので、原子力発電所はいついかなる場合も安全だと。放射能が漏れてくるような事故を考えるのは、想定不適当と。そして想定不適当事故という烙印を押して無視することにした、わけです。」
「ところが実際に、破局的事故はおきて、今現在進行中です。たいへんな悲惨なことが、今、福島を中心に起きているということは、多分みなさんも御承知頂いていることだろうと思います。ただ、その現在進行中の事故にどうやって行政が向き合ってきているかと、言う事についても、大変不適切な対応が、わたくしはたくさんあったと思います。」
「防災というものの原則は。危険を大きめに評価してあらかじめ対策をとっていく。住民を守ると。もし危険を過大に評価していたのだとすれば、あ、これは課題だった。でも住人に被害を与えないで良かったと胸をなでおろすという、それが防災の原則だとおもいますが。」
「実は日本の政府がやってきたことは、一貫して事故を過小評価して楽観な見通しで行動してきました。国際事故評価尺度で、当初レベル4だとか、いうようなことを言って、ずーっとその評価を変えない、まぁレベル5といったことは有りましたけれども、最後の最後になって、レベル7だと。あまりにも遅い対応の仕方をする。」
「それから避難区域に関しても、一番初めは3キロの住人を避難指示だす。これは万一のことを考えての指示です、と言ったのです。しかししばらくすると今度、10キロメートルの人たちに避難指示を出しました。その時も、これは万一の時を考えての処置ですと、言ったのです。ところがそれからしばらくしたら20キロメートルの人たちに避難の指示を出す。その時も、これは万一を考えての指示です、と。いうようなことを言いながらどんどんどん後手後手に対策がなっていった。いう経過をだどりました。」
「私は、パニックを避ける唯一の手段は正確な情報を常に公開するという態度、だろうと思います。そうして初めて、行政や国が住民から信頼をうける。そしてパニックを回避するのだと、私はおもってきたのですが、残念ながら日本の行政はそうではありませんでした。常に情報を隠して危機的な状況でないということを、常に言いたがるということでした。」
「えー、SPEEDIという100億円以上のお金をかけて、25年もかけて築きあげてきた事故時の計算コード、それすらも隠してしまって住民には知らせないというようなことをやった、わけです。」
「それから現在、まだ続いていますが、誰の責任かを明確にしないまま労働者や住民に、犠牲を強制しています。福島の原発で働く労働者の被ばくの限度量をひきあげてしまったり、あるいは住民に対して強制避難をさせる基準を現在の立法府が決めた基準とは全く違ってまた引きあげてしまうと、言うようなことをやろうとしている。」
「本当にこんなことをやっていていいのだろうかと、私は思います。」
「現在進行中の福島の、原発事故の本当の被害って、いったいどれだけになるんだろうかと私は考えてしまうと、途方に暮れます。」
「失われる土地というのは、もし現在の日本の法律を厳密に適応するなら、福島県全域といってもいい位の広大な土地を放棄しなければならなく、なるとおもいます。それを避けようとすれば、住民の被ばく限度を引き上げるしかなくなりますけれども。そうすれば住民たちは被ばくを強要させるということになります。」
「一次産業は、多分これからものすごい苦難に陥るだろうと思います。農業漁業を中心として商品が売れないということになるだろうと思います。」
「そして住民たちは故郷を追われて、生活が崩壊してくことになるはずだと私は思っています。」
「東京電力に賠償をきちっとさせるという話もありますけれども、東京電力がいくら賠償したところで足りないのです。何度倒産しても多分足りないだろうと思います。日本国が倒産しても、多分あがないきれないほどの被害が、私は出るのだろうと思っています。」
「本当に賠償するなら。ということです。」
「最後になりますが、ガンジーが7つの社会的罪ということを言っていて、彼のお墓にこれが碑文で残っている、のだそうです。」
「1番始めは「理念なき政治」です。この場にお集まりの方々は政治に携わっている方ですので、えー、十分にこの言葉をかみしめて頂きたいとおもいます。」
「そのほかたくさん、『労働なき富』、『良心なき快楽』、『人格なき知識』」
「『道徳なき商業』。これは多分、東京電力始めとする電力会社に私は当てはまると思います。」
「そして『人間性なき科学』と。これは私も含めたアカデミズムの世界がこれまで原子力に丸ごと加担してきたと、いうことを私はこれで問いたいと思います。」
「最後は献身なき崇拝。宗教お持ちの方はこの言葉もかみしめて頂きたいと思います。えー終りにしますありがとうございました。」
(文字おこしここまで)
(参考エントリー)
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